2016年10月24日月曜日

食べてすぐ寝ると牛になる

 私の両親は諺(ことわざ)や格言が好きで、日常生活でもよく使っていました。母親の場合は、子どもの頃に子どもがいない本家の養女に出されたこともあって、諺好きの実父と実母が日常的に使っていた諺を思い出して身に着けたようです。父は一ひねりしたような格言や、有名な句を捻って遊ぶのが好きでした。

 兄も私も格言好きになり、ずいぶん得をしました。有名な百人一首に出てくる藤原の実定(さねただ)の歌「ほととぎす 鳴きつるかたを 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる」を一ひねりした歌「ほととぎす 鳴きつるあとに 呆れたる 後徳大寺の 大臣(おとど)の顔」が好きでした。私の座右の銘も親譲り。「沈香(じんこ)も焚け、屁も放け(こけ)」

 沈香はジンコウより「ジンコ」と読まれることが多い香料で、高級品の伽羅(きゃら)が有名です。要は香を焚くような高尚なことも、屁を放つような下品なこともやる幅のある者になれということです。一方母からは、「食べた後、直ぐ横になると牛になる」とよく叱られました。食後直ぐに寝るのは行儀が悪いという意味としてずっと理解していました。


 最近、食後に直ぐ横になるのは、健康に良くないのだという医学記事を見つけました。食後すぐ寝ると血糖値が急激に上昇し、繰り返していると糖尿病になりかねないのだそうです。へえー、行儀の問題だけじゃないのだと、別の諺を思い出しました。「親の意見と茄子(なすび)の花は千に一つも仇はない。」(この「意見」は小言(叱言)の意味でしょう。)

0 件のコメント:

コメントを投稿