2016年8月31日水曜日

ウサギ美味し

 いつだったか私より20歳くらいお若い人たちと雑談をしていて、「故郷」という歌が話題になりました。「兎追いし彼の山…」という歌です。突然その一人が「子供の頃は『ウサギ美味しい…』だと思っていた。」と言うと、驚いたことに「私もだ」と言う人が何人か出て来たのです。私は「オイシ」は、「追うこと」と分かっていましたからびっくりしました。

 私は「小鮒釣りし」の思い出はたっぷりありますが、野兎は野山で居るのを見たことがあっても、それを追いかけた経験は全くありません。ということは、体験の差ではなく、文語体の言葉に対する馴染みの差ではないかと思いました。私の子どもの頃には、童謡でもすべて文語調でしたから、一番わけもわからずに歌ったのはこの軍歌だったのです。

 軍歌と言う代物は勇ましくも、わけのわからぬ言葉が出てきました。でも誰も意味を教えてくれず、間違えたまま聞き覚えの歌詞を大声で歌ったり歌わされたりしていました。「護るも攻むるも黒鐵(くろがね)の/浮かべるその城日の本の/皇国(みくに)の四方(よも)を護るべし…」幼稚園児や小学生に意味がわかるはずはありません。


 「天に代わりて不義を討つ、忠勇無双の…」を「天井に金槌釘を打つ、チュウチュウネズミの運動会」と大声で歌っていましたが叱られませんでした。「何にも言わず靖国の…」という歌を「何にも言えず靖国の」と間違えて歌った途端に、先生が飛んできて「憲兵に連れて行かれるぞ!」と怒鳴りました。言いたいことが言えぬ年代にやっとわかりました。

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